
会社を設立された経験をお持ちの方であれば、定款についてご存知だと思われます。
しかし、その重要性・本当の意味を知っている方は少ないかと思います。それは当然です。
会社を設立するに当たってわざわざ商法・会社法を基礎から勉強する時間はありませんし、そのような時間を費やしてはビジネスチャンスを逃すことにもなります。むしろ時間をかけるべきはビジネスの計画・運営方法など、より実際的な面が中心となります。
結果、定款の作成に関しては「専門家に頼む」・「本などの定款書式をなぞる」事となる訳ですが、最初の経営判断としてこれは正解といえましょう。
しかしながら、この一度作った自社の定款について、全く振り返ることなく事業を行うことは大変危険です。ビジネス社会の変化やさまざまな法改正により、会社を取り巻く環境は日々変わっていきます。
それに合わせ、会社の根本原則たる定款を見直さなければ、折角のビジネスチャンスに乗り遅れることにもなりますし、場合によっては会社の存続や経営者としての地位に大きな影響をもたらすこともあります。
実際、会社組織の法的な整備に関して敏感な1部上場企業においては、2006年5月1日の新会社法施行に合わせる形で179社もの企業が定款変更を発表しました。
ただし、新会社法施行に合わせた定款変更は大企業だけの問題ではなく、中小企業にこそ必要な手続きであると言えます。
なぜなら、新会社法施行により経営者にとって多くの利益が享受できるのは、むしろ定款自治がより広く認められる同族系会社を前提としたの譲渡制限会社であるからです。
会社を設立する際に作った定款…そもそも、この定款とは何でしょうか?
定款を簡単に言うと、「会社の目的・組織・活動などに関する根本規則、又はそれを記載した書面」を言います。
つまり「会社の憲法」ともいえる重要規則です。ただし、この説明だけでは、なかなかピンとこないと思います。
以下、よりイメージし易い形でご説明いたします。会社をヒトに例えますと、取締役は意思決定を行う「脳」、資本や設備・人材などは「血液や他の組織」と言えます。
では「定款」は…というと、会社の骨格系のイメージです。定款の無い会社は、いわば「骨抜き」であり、会社として成り立ちません。また、ヒトが首を360度回転できないがごとく、会社もその骨格たる定款記載の事業目的の範囲しか活動できません。
つまり、定款は会社を会社たらしめるものであり、ある意味では「定款=会社そのもの」と言っても良いでしょう。ただし、ヒトの骨格系とは異なり、この会社定款は時代の変化に合わせて作り直すことができます。そして、新会社法がその大幅なモデルチェンジを可能としました。定款を見直し、必要な変更を行うことで、会社の機動力と体力の増強が図れます。今こそ、定款変更による会社の体質改善のチャンスです。
会社を設立するには、管轄法務局へ登記申請し、一定の事項を登記しなければなりません。会社が登記すべき事項は会社法911条3項に定められています。そして、会社設立後に従前の登記事項を変更した場合には、その旨の変更登記が必要となります。つまり、定款変更を行った結果、登記事項も変更された場合には、変更登記が必要となります。尚、上記登記手続に遅滞があった場合、代表取締役は100万円以下の過料を受ける場合がありますので注意が必要です。また、変更登記を行う場合には、管轄法務局において登録免許税を支払う必要が有ります。
・目的
・商号
・本店および支店の所在場所
・株式会社の存続期間または解散事由についての定款の定めがあるときはその定め
・資本金の額
・発行株式総数
・発行する株式の内容
・取締役の氏名
・代表取締役の氏名および住所
・取締役会設置会社である場合はその旨
・会計参与設置会社である場合はその旨、並びに会計参与の氏名または名称
および当該会計参与が定めた場所
・株券発行会社である場合はその旨
・公告の方法について定款の定めのあるときはその旨など